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生前贈与で減った遺産と相続権を守る

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例えば、父親の遺産が2,000万円で、長男が生前に1,000万円の贈与を受けていた場合、特別受益の持ち戻し計算では、まず相続財産を3,000万円(遺産2,000万円+特別受益1,000万円)として考えます。長男と次男の法定相続分が各1/2とすると、本来各人の取り分は1,500万円ずつとなります。長男は既に1,000万円を受け取っているので、残りの遺産2,000万円からは500万円を受け取ることになり、次男は1,500万円を受け取ることになります。

契約締結

また、生前贈与の事実や金額を証明するための証拠収集も重要です。被相続人の銀行取引明細、贈与契約書、不動産登記簿、贈与税の申告書など、贈与の事実を裏付ける資料を可能な限り収集しましょう。親族間の贈与は口頭で行われることも多く、証拠が乏しいケースもありますが、間接的な証拠や状況証拠も含めて収集することが大切です。

必要に応じて、内容証明郵便で生前贈与の事実確認を求めたり、弁護士を通じて調査を行ったりすることも検討しましょう。証拠が不十分な状態で遺留分侵害額請求を行うと、請求額の算定が難しくなったり、請求自体が認められない可能性もあります。早い段階で専門家に相談し、適切な証拠収集と時効管理を行うことが成功の鍵となります。

生前贈与による遺留分侵害への対応プロセスは、事実確認と証拠収集(1〜2ヶ月)、遺留分侵害額の計算(2〜4週間)、請求と交渉(1〜3ヶ月)、必要に応じた訴訟(6ヶ月〜1年半)という流れで進行します。シンプルなケースで3〜6ヶ月、複雑なケースでは1年以上かかることもあります。

遺留分侵害額請求に必要な書類は、被相続人と相続人の戸籍謄本、遺産の評価資料(不動産登記簿、固定資産評価証明書など)、生前贈与の証拠(契約書、振込記録など)、債務に関する資料などです。請求は内容証明郵便で行うことが一般的で、協議が整わない場合は訴状や証拠書類を準備して裁判所に提出します。

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弁護士に依頼する場合は、着手金として20〜50万円程度、成功報酬として回収額の10〜20%程度が一般的です。ただし、案件の複雑さや財産の金額によって変動します。また、訴訟になった場合は別途費用が発生することがあります。

財産分与 離婚

遺留分の割合は相続人の種類によって異なります。直系尊属のみが相続人の場合は法定相続分の3分の1、それ以外の場合(配偶者や子が相続人の場合)は法定相続分の2分の1です。例えば、配偶者と子が2人いる場合、配偶者の法定相続分は2分の1、子はそれぞれ4分の1ですので、配偶者の遺留分は4分の1(2分の1×2分の1)、子はそれぞれ8分の1(4分の1×2分の1)となります。

また、遺留分は放棄することも可能です。ただし、放棄は相続開始前に家庭裁判所の許可を得て行う必要があり、一度放棄すると原則として撤回できないため、慎重な判断が必要です。相続開始後に遺留分を放棄することは、実質的には遺留分侵害額請求権を行使しないという選択になります。

特別受益に該当する典型例:

  • 不動産(土地・建物)の贈与
  • 高額な動産(自動車、貴金属、美術品など)の贈与
  • まとまった住宅取得資金や事業資金の援助
  • 多額の結婚資金の援助(社会通念を超える金額)
  • 債務の肩代わり

特別受益に該当しない典型例:

  • 通常の範囲内の教育費(学費、塾や習い事の費用など)
  • 日常生活費の援助
  • 一般的な範囲内の冠婚葬祭費用
  • 社会通念上相当と認められる程度の結婚祝い金
  • 誕生日や記念日のプレゼント

判断が難しいケースもあります。例えば、医学部など特に高額な学費がかかる教育を受けさせた場合、通常の教育費を超える部分については特別受益と認められる可能性があります。また、同居して介護などをしていた相続人に対する生活費の援助は、その実質が報酬的な性格を持つ場合は特別受益に該当しないこともあります。

例えば、父親が長男に2,000万円相当の不動産を生前贈与し、その他の遺産が1,000万円あるケースを考えましょう。長男と次男の2人が相続人の場合、次男の遺留分は750万円(遺産1,000万円+生前贈与2,000万円=3,000万円、その1/2×1/2)となります。実際に次男が相続できる財産は1,000万円×1/2=500万円なので、遺留分侵害額は750万円-500万円=250万円となります。次男は長男に対して、この250万円の支払いを請求できますが、不動産そのものの返還を求めることはできません。

ただし、例外的なケースとして、受贈者(不動産を贈与された人)が金銭による支払いが難しい場合、裁判所の許可を得て不動産の一部や全部を返還することで、遺留分侵害額の支払いに代えることができる制度(代物弁済)があります。また、当事者間の合意があれば、不動産の返還という形で解決することも可能です。